(4)神代踊
飛騨一宮水無神社に古くから伝わる神事芸能は、無形文化財として、県指定を受けています。その中で中核となるのは何と言っても宮踊といわれる神代踊です。
神代踊と称する踊りは、綾踊・白菅踊・髭踊・よれよれ踊・池田踊・天戸開踊の六つからなっています。このうち、白すげ・ひげ・池田・天戸開の四曲は、長野県の木曽地方から、祭礼風流歌として伝承されたものであると言われています。
水無神社の氏子として生まれた男子は、二十歳頃から三十歳頃まで祭礼に奉仕することになっています。踊りには頭が二人いて一座・二座と呼んでいます。これは、主たる音頭取りであり、その他に警固と称する後見役、兼、指南役がいます。踊子は男子で服装は黒紋付に羽織、角帯姿で袴を着付けず、白足袋、紙緒草履、菅の一文字笠で踊ります。それに四人の女装した上臈(じょうろう)が加わります。
※一文字笠(いちもんじがさ):頭の上に、ほぼ水平に載っている笠
※上臈(じょうろう):身分の高い人のそばで仕える女性のこと。この神代踊では、その女性の格好をした男性のことを言います。
神代踊の中でも神事として最初に行ったのは綾踊です。よれよれ踊・ひげ踊・白菅踊・池田踊が踊られるようになったのは、九世紀から十五世紀頃でなかろうかといわれています。江戸中期頃になって、天戸開踊が追加されて、六つの踊りが水無神社の神代踊として編成され、現在へ踊り継がれてきているわけです。