(2)飛騨の宮笠(一位笠)
住民の生活は、森林と深いつながりをもっています。旧宮村では、学校、役場、診療所、橋をかけるなどのさまざまな事業は、村有林から得られる収入に負うところが大きく、村民の負担はかるくなっていたのが特徴です。
そうした木材を利用して作られる特産物に、宮笠・一位笠があります。白地の檜や赤身のいちいの木を薄く削り、細く切ったものを、竹を骨組みに一筋ずつ編み込んで作るこの笠は、飛騨の宮笠として親しまれています。江戸中期頃に始まり、今日まで作り伝えられ、戦後需要は減少しましたが、近年は観光客に日笠等として利用されています。人の手でこつこつと作り出されるこの笠は、木の香りがほのかに漂い、木の持つ温もりを感じられます。
特に笠の上部に飾りをつけたセミ付笠は国内でも数少ない貴重なものです。